本記事では、キャンピングカーへのエアコン設置方法について紹介していきます。
自作キャンピングカーにエアコンを設置するのはハードルが高いと言われていますが、個人的には手順をひとつずつ理解して着実に手を動かすことで、大変ながらも案外楽しみながら設置完了まで到達することができると感じました。
こちらの記事ではエアコン設置までの流れをざっと紹介しておりますが、各トピックの付随記事には作業内容を詳細に記述しておりますので、こちらの記事を流し見しつつ興味があれば各詳細記事を確認して作業の際の参考にしていただければと思います。
実際の作業にかかった時間や費用は記事の最後の方に記載してあります。
キャンピングカーにエアコンがある生活
快適な車中泊をするのであれば、やはりエアコンは必需品ではないでしょうか。
断熱仕様にしていても特に6月から10月にかけては夜は寝苦しく、熱中症などのリスクを考えるとキャンピングカーにはエアコンが必要だと言えます。
エアコンがついていると季節を問わず車中泊することができるので、旅行プランにも幅ができ快適で楽しいバンライフを送ることができます。
ちなみに気になる消費電力ですが、詳細は下の記事で紹介していますがざっくり300Ah程度の容量のサブバッテリーがあれば、夜間寝ている間にエアコンを使用し続けることが可能です。
車内スペースに関しても、DCエアコンを選択すれば室内機はコンパクトに収まるので、車内空間も圧迫されることもなく快適に過ごすことができます。

詳しくは以下の記事で紹介しておりますので、興味がある方はこちらも参照してみてください。
DCエアコンとは
上のトピックで触れたDCエアコンについて簡単に紹介したいと思います。
ふつうの家庭用エアコンは 「AC(交流)電源」 を使って動きますが、一方で DCエアコン は 「DC(直流)電源」 を直接使えるように設計されたエアコンのことを指します。
「DC」と聞くと難しそうですが、イメージしやすい例を挙げると…
- 家庭用コンセント → AC電源(交流)
- 車のバッテリーや太陽光パネル → DC電源(直流)
つまり、DCエアコンは バッテリーで直接動かせるエアコン(コンセントが不要)で、キャンピングカーに取り付けるのに適したエアコンと言えます。
家庭用エアコンと比較したときのDCエアコンのメリットを以下に挙げます。
- 省エネ
電力変換のムダが少なく、同じ冷房能力でも消費電力が少ない - バッテリーや太陽光と相性がいい
キャンピングカー、オフグリッド住宅、災害時の非常用などに向いている - コンパクト・軽量
車や船、狭いスペースにも取り付けやすいように設計されていることが多い
以上より、キャンピングカーに取り付けるならDCエアコンが適していることがわかりました。
それではそのDCエアコンは実際どのようなものか見てみると、商品箱の中には下の写真のように大きく室内機ユニットと室外機ユニットにわかれて入っています。
そのため構成としては比較的シンプルで、これらをそれぞれ車体に取り付けたり付属のホースで繋げ合わせることでエアコンとして使用することができるようになります。
●室内機ユニット

●室外機ユニット

それでは、以降のトピックで実際の作業内容について紹介していきます。
室内機取り付け
まずは室内機の取り付けについてです。
室内機の取り付け自体は非常に簡単で、数か所ビス留めをすることで取り付けることが可能です。
実際に室内機を車室内に取り付けた状態が以下の写真です。けっこうコンパクトでスタイリッシュなので、車室内を圧迫することなく比較的自然に車内空間に馴染んでくれます。

室内機は当然車室内に取り付けるのですが、その取り付け場所や取り付け方法については少し検討が必要となります。
例えば、家のように垂直な壁に室内機を取り付けるのであれば特に気にすることはないのですが、下の写真のように斜めの壁に取り付ける場合は丸で囲んだ部分に水が溜まってしまうので要注意です。(多くの車で横壁にはこのような傾斜がついています)
このままだと排水がうまくいかない可能性が高いため、排水機能の改善を目的とした改造をする必要があります。

改造の詳細は以下の記事で紹介しているので、興味があれば参考にしていただければと思います。
特に自作キャンピングカーに室内機を設置する場合、ただ単に取り付けるだけではダメで、ひと工夫が必要という点に注意しなくてはなりません。
室外機の分解
次に室外機についてですが、室外機を車のどこにどのように取り付けるかはキャンピングカーのエアコン設置における1つ大きなハードルとなります。
1つの有力な案として、車両下のスペアタイヤを外してそこに室外機を設置するという方法があるのですが、限られたスペースしかないためその空間に室外機ユニットをそのまま取り付けるのは難しい場合が多く、室外機を分解して工夫した配置をする必要が出てきます。
そこで先程紹介した室外機ユニットを、コンプレッサー、コンデンサー、ファンの3つに分解をしておきます。基本的にすべてボルトを使用して接続してあるだけなので比較的簡単に分解することができます。

ちなみにもし室外機を分解せずに車下に無理やり取り付けた場合、スロープや段差を乗り越す場合などに地面と接触する可能性があり非常に危険です。
特に高速走行時に急な凹凸面を通過して車体が上下に揺れるなどして、室外機が地面と接触したら大事故につながる可能性もあるので、スペースが限られている場合には室外機の分解が必須と言えます。
分解の手順については以下の記事で詳細に記述しているので併せて参照してみてください。
室外機取り付け
分解したコンプレッサー、コンデンサー、ファンを車の下に取り付けていきます。
部品をそのまま直接車体に取り付けることはできないので、L字アングルやコの字アングルなどを駆使して土台を製作し、その土台を介して室外機部品を車体に取り付けます。
実際に室外機部品を取り付けた様子が以下の写真となります。

やはりポイントとしては、いかに室外機部品をコンパクトに車下へ取り付けるかという点になります。
サイズをコンパクトに抑えることによって、室外機部品を地面に擦るリスクもなくなりますし、車重の増加を最低限に抑えることができ燃費や走行安定性の向上にも繋がります。
室外機取り付けの実際の作業内容としては、部品の取付位置検討、取り付け穴あけ、ナットかしめ、アングルの加工・組み立て等々多岐にわたります。
作業内容について詳しく知りたい方は下の記事を確認してみてください。各作業について具体的な工程や注意点など記述しておきました。
エアコン配管
室内機と室外機の設置が完了したら、今度はそれらを繋ぐホースを配管していきます。
室内機は車室内、室外機は車室外に取り付いているので、車室内外をつなぐ貫通穴をあけてホースを配管する必要があります。
下の写真は車下に穴をあけてホース類を車室内へと通している様子を写したものです。

エアコンが梱包されている箱を開けると室内機ユニットと室外機ユニットの他にホースが2本入っているのでそれらを下の図のような対応関係で接続していきます。
ホースの各接続部分はそれぞれ形状が異なっているので、間違った箇所に取り付いてしまうようなことがなく、直感的にかつ安心して作業をすることができます。

貫通穴のあけ方や具体的な配管方法については以下の記事で詳細に紹介していますので、作業内容に興味がある方はぜひこちらも確認してみてください。
冷媒ガス充填
配管まで完了したらエアコンに冷媒ガスを充填していきます。この作業が完了すると、ようやくエアコンから冷風が出てくるようになります。
作業の流れとしては、まず配管内を真空引きしてそのあとに冷媒ガスを注入していく、といった順序になります。
冷媒ガスの充填は作業を誤ると缶が破裂して大事故につながる危険性があるため、手順を間違えずに十分注意をして作業する必要があります。
下の図は冷媒ガスを充填する際のイメージ図となっています。
エアコン(クーラー)の仕組みも簡単に示しているので、こちらの図の中身を頭にいれて作業をするとわかりやすいかと思います。

具体的な工程は以下の記事で紹介しておりますので、もし実際に作業をされる方はこちらの記事を参考にしてみてください。作業上の注意点についても紹介しています。
作業にかかった時間
エアコンを導入するにあたり、作業時間はトータルでおおよそ45時間かかりました。
時間の内訳は以下のとおりです。
- エアコンの分解:1時間
- 室内機改造・取り付け:2時間
- 室外機改造・取り付け:30時間
- エアコン配管:8時間
- 冷媒ガス充填:4時間
実際の作業は試行錯誤をしながらなので結構時間がかかりました。
特に室外機の取り付けは車の下に潜り込んでの作業になるので、視界や体勢がきつくそれなりに大変な作業となりました。
ただ、作業の勝手がわかっていたり、事前に取り付け位置や取り付け方法、寸法などが完璧に準備できていれば正味の作業時間は半分近く短縮できると思います。
作業にかかった費用
作業にかかった部品費・材料費はおおよそ100,000円となりました。
そのおおまかな内訳は以下のとおりです。(どの材料をどこに使用したかの具体的な情報は各詳細記事に記載しております)
- エアコン本体:75,000円
- プラダン:1,000円
- 防水テープ:1,000円
- L字アングル:4,000円
- コの字アングル:4,000円
- ホース断熱材:1,000円
- 発泡ウレタン:1,000円
- パテ:1,000円
- エアコンガスチャージ・真空ポンプセット:8,000円
- エアコンガス:3,000円
- ボルト・ナット・ビス類:1,000円
これを見ると、かかった費用の大半はエアコン本体であることがわかります。
まとめ
こちらの記事ではキャンピングカーへのエアコン設置方法について紹介しました。
キャンピングカーへのエアコン取り付けは業者に依頼すると本体・工事費で40万円~100万円程度かかると言われていますが、すべて自力で作業すると10万円程度でエアコンを導入することができました。
一方で作業時間はそれ相応にかかるので、それを安いとみるかは人それぞれかと思います。私個人としては、作業自体は非常に大変だったものの、完成したときには大きな達成感が得られましたし、様々な経験と知識を身につけることができたのでとても満足のいくDIYとなりました。
本記事および付随する記事にはできるだけ作業内容を詳細に記述したので、ぜひ挑戦してみたいという方の参考になれば幸いです。