本記事では、車中泊をするならぜひしておきたい天井の防音・断熱について紹介していきます。この施工をすると車中泊の快適度合いがぐっと上がるので、特にこれからキャンピングカーを自作するという方にはぜひ参考にしていただければと思います。
防音・断熱のメリット
- 雨音がうるさくなくなる
なにもしていない状態だと、雨がルーフパネルを打つ音が結構うるさく車内で過ごす際や就寝時に気になってしまうのですが、この記事で紹介する施工をすることで音の大きさをかなり抑えることができ快適に過ごすことができます - 走行時の振動が緩和される
天井の施工だけでも効果はあるのですが、床の防音・断熱施工も併せて行うことで、走行時に後ろから聞こえてくるこもり音(低周波で耳が圧迫されるような感覚を伴う音)をかなり抑えることができます - 天井からの冷気・熱気が緩和される
施工前のルーフパネル1枚だけの状態と比べ、施工後は5層構造となるので暑さ・寒さが格段に抑えられます
作業手順
内装剥がし
まずは天井についている内装材を剥がしていきます。中古車だとこの内装材に汚れや臭いが染み付いていて古い車特有のいやな臭いにもつながっているので、これを剥がすことで臭いの面からも快適な環境に変えることが可能です。
下の写真は天井に簡易的な内装材がついている作業前の状態で、少し黒ずんでおり埃っぽいような臭いがしていました。

内装材をはがしたあとはこんな感じでルーフのパネルがむき出しの状態になります。このままだと外と車内を隔てているのはこの1mm以下の薄い鉄板だけになるので、防音・断熱の施工をしていく必要があります。(ちなみにこのままの状態だとドアの開閉をしただけでもルーフパネルがたわんで大きな振動音がしてしまいます)

デッドニング
次にむき出しになったルーフパネルにデッドニングをしていきます。デッドニングは車内の振動や騒音を抑えるために重要な処理で、具体的には下の写真のように制振材(ブルーのシート状)をルーフパネルに貼り付けていく作業となります。制振材を適当なサイズにカットし、コロコロでしっかりと面を押しながら貼り付けていきます。このときパネルと制振材は完全にくっついている状態になるまで念入りにコロコロしていきましょう。

ルーフパネルの平坦面全体に制振材を貼っていきます。なお、ルーフパネルのリブ(幅の狭い凹凸面)が通っている箇所に関しては剛性が高いのでデッドニングは不要です。剛性が低くロードノイズに共振しやすい平坦面を制振材でしっかりと補強するようにしましょう。(写真と同じように幅の大きい平坦面にまんべんなく制振材が貼れていれば問題ありません)

今回、制振材は以下のものを使用しました。
コーキング
内装材を剥がしたことで車体の左右にまたがる梁部品(リンフォースと呼びます)とルーフパネルの間に隙間ができ、このままだとドアの開閉や走行時にルーフパネルがべこべこ変形して非常にうるさいため隙間を埋める作業が必要です。
そこで、このように隙間にクロセルスポンジを挟んでいきます。クロセルスポンジを挟むことで間接的にリンフォースがルーフパネルを支えることができ、パネルの変形が抑制されます。このとき、片面に両面テープがついているタイプのクロセルスポンジを使用するとこの作業がとても楽になります。ルーフパネルの上下動を完全に止めたいので、リンフォースとルーフパネルの間がぎちぎちになるようにクロセルスポンジを挟んでいきましょう。

隙間がある箇所すべてにクロセルスポンジを挟んでいきます。場所によりますが、3~10mmくらいの隙間をクロセルスポンジで埋めました。

クロセルスポンジを挟んでいる箇所以外にはコーキングを打っていきます。下の写真のようにリンフォースとルーフパネルが接する箇所全体にコーキングすることによって、ルーフパネルの剛性が上がって走行時のこもり音などを低減することができます。

今回、コーキングは以下のものを使用しました。
- ボンド MPX-1 グレー 333ml
アルミ断熱シート貼り
断熱レベルを上げるためにアルミ断熱シートを貼っていきます。アルミシートをルーフパネルを覆えるサイズにカットし、片面にスプレーのりを吹き付けてルーフパネルに貼り付けていきます。パネル越しに熱気や冷気が漏れ入ってくるのでしっかりと全体を覆うように貼り付けていきます。ただし、このあと天井板の貼り付けをするため、リンフォースは断熱シートで覆わず写真のようにむき出しの状態にしておきます。

今回、断熱シートとスプレーのりはそれぞれ以下のものを使用しました。
- コニシ ボンド スプレーのりZ-3 ガス抜きキャップ 430ml
断熱材入れ
続いて断熱材を入れていきます。袋にパンパンに綿状の断熱材が詰まっていて、外側の包装を開けるとこんな感じで飛び出してきます。相当圧縮されてコンパクトになっていたことがわかりますね。

断熱材を天井に取り付けるために、まずは支えとなるように天井用の羽目板を1本か2本だけ取り付けておきます。このとき、3本以上は取り付けないようにしましょう。(理由は後述)

次にルーフパネルと羽目板の隙間に断熱材を入れ込んでいきます。これにより断熱材をいちいち手で支えておく必要がなく、そのあとの羽目板を取り付ける作業が楽になります。断熱材を入れる前に3本以上の羽目板を取り付けてしまうと、ルーフパネルと羽目板の間が狭いために断熱材をうまく隙間に通すことができなくなってしまうので、事前に取り付ける羽目板は2本までにしましょう。

断熱材は以下のものを使用しました。
天井板貼り
事前にニスを塗った羽目板を断熱材が見えなくなるまで貼っていきます。羽目板は天井のリンフォースに直でビス打ちをして取り付けました。上を向きながらのビス打ち作業になるので、最低限2人、できれば3人で作業することをおすすめします。(私は2人で作業しましたが、かなり大変でした。)

なお、この天井板貼りに関しては天井板の塗装、ライトの取り付け、ビス打ちの注意点、板端末の処理などなど作業が多岐にわたるため、詳細については以下の記事で紹介します。興味のある方はこちらをご確認ください。
かかった時間と費用
かかった時間
作業時間はトータルでおおよそ9時間かかりました。時間の内訳は以下のとおりです。
- 内装剥がし:30分
- デッドニング:1時間半
- コーキング:1時間
- アルミ断熱シート貼り:1時間
- 断熱材入れ:1時間
- 天井板貼り:4時間(事前の加工やニス塗りなど除く)
かかった費用
作業にかかった費用はおおよそ21,000円となりました。そのおおまかな内訳は以下のとおりです。
- デッドニングシート:3,000円相当分
- クロセルスポンジ:1,000円
- コーキング:1,000円
- アルミ断熱シート:3,000円
- 断熱材(マットエース):3,000円相当分
- 羽目板:1,0000円
まとめ
この記事では車の天井の防音・断熱施工について紹介しました。ルーフパネルに加え、ここで施工したデッドニングシート、アルミ断熱シート、断熱材、天井羽目板によって5層構造となっているため、防音・断熱レベルを大幅にアップさせることができました。機能性が大きく向上するだけでなく、車内の見た目を大幅に変えることもできるので興味がある方はぜひ挑戦してみてください。