こちらの記事では、自作キャンピングカーで車中泊をするならぜひしておきたい床の防音・断熱方法について解説していきます。(実際に作業にかかった時間や費用も紹介しています)
下の写真のような床張りをするところまでの過程を本記事で一気に紹介していきます。

この施工をすると車中泊の快適度合いがぐっと上がるので、特にこれからキャンピングカーを自作するという方にはぜひ参考にしていただければと思います。
防音・断熱のメリット
防音・断熱施工をすると車中泊が非常に快適になりますが、特に以下の3点において大きく恩恵を受けることができます
- 走行時の床からの騒音が抑えられる
何も対策をしていないと走行時に後ろの方からこもり音がするのですが、床に施工をすることで騒音レベルが下がってより快適に運転ができるようになります
- 床から来る冷気・熱気が緩和される
床下から来る冷気・熱気が緩和されるのでより快適な車中泊が可能になります
- 座ったり寝たりできるきれいな床ができる
購入時の車の床のままだと汚れていたりするので座ったり就寝したりするのは躊躇われますが、本記事のような施工をすることで土足厳禁の快適な室内空間を実現することができます
作業手順
床の防音・断熱施工に関する一連の作業について、順を追って説明していきます。
カバー剥がし
まずはもともと車についている床カバーをはがしていきます。

はがすと粘着剤やモケモケが残っていて、このままだとこのあとの作業の邪魔になるのでパーツクリーナーを使ってきれいにしていきます。

モケモケはパーツクリーナーを吹きかけてヘラで擦っていくとこそぎ落とすことができます。
特にこのあとの作業で両面テープを使ってフロアパネルに木枠を接着していくので、ここでしっかりと油分や汚れを取り除いておきましょう。
フロア全面を隈なくきれいにするのは大変なので、最低限両面テープを使用する箇所がきれいになっていれば問題ありません。
土台の木枠づくり
床板の土台となる木枠をつくっていきます。適度な間隔で板を床に置いていき、両面テープを使ってフロアパネルと接着していきます。

ここで「適度な間隔で」と書いているのは、以下のような理由があるためです。
- 木枠の間にスタイロフォームを敷き詰めていくので、木枠どうしの間隔が狭すぎると敷き詰めの作業が大変になる(そのサイズにぴったりはまるようにスタイロフォームを1個ずつカットしていかないといけないので)
- 木枠どうしの間隔が広すぎると、あとで床板を敷いてその上に乗った時にベコベコしてしまう箇所ができる(適度な木枠間隔であればほどよく体重を分散してベコベコすることはありません)
どのくらいが「適度」なのかというと、感覚的には以下の写真ぐらいではないかと思います。

これくらいであれば、スタイロフォームの加工も大変すぎることはないですし、床板を敷いたときもほどよく支えてくれる木枠間隔になっていると思います。
ちなみに、木枠には断面が18mm × 18mmの角柱を使用しました。
理由は、このあと厚さ20mmのスタイロフォームを敷き詰めるためです。
このとき、スタイロフォームは木枠よりも2mmだけ出っ張ることになるのですが、下の断面図のように床板をビス止めをする際にスタイロフォームを圧縮することで床板は反発力を受けて適度な張りを持つので、床板に乗った際にベコベコ感が出るのを防ぐことができます。

木枠をフロアパネルに固定する際には、金属と木材の接着となるため両面テープはこちらを使用しましたが、この床断面の構造上一度貼った木枠が剥がれることはそうないので両面テープは全面貼る必要はなく、適度な間隔で貼ってあげれば問題ありません。
スタイロフォーム敷き詰め
先ほどから何度かスタイロフォームという言葉を使っていますが、スタイロフォームは断熱性能を持った発泡ポリスチレンでホームセンターでよく見かける水色の商品です。

先に紹介したように、今回は厚さ20mmのスタイロフォームを敷き詰めていきます。
スタイロフォームはカッターで簡単にサクサクとカットすることができるので、サイズぴったりに木枠にはめていくのは楽しい作業です。
木枠の中にスタイロフォームを敷き詰めていくことで、下の写真のような状態が完成します。

発泡ウレタン充填
スタイロフォームで埋めきれなかった隙間には発泡ウレタンを使用して防音・断熱効果を高めていきます。
スプレータイプの発泡ウレタンは、少し吹き付けただけですぐにもこもこと膨らんできます。これで隙間からの冷気や熱気を防ぐことができます。

ベニヤ板敷き詰め
ベニヤ板を敷き詰めることでフラットな床面をつくっていきます。
このとき、前の工程で剥がしたカバーを型にしてベニヤ板をフロアパネルの形状に合わせてカットしていくと時短になるのでおすすめです。
ベニヤ板を敷いたら木枠に合わせてビスを打ちつけていきます。

このビス打ちをしっかりと行うことでスタイロフォームは適度に圧縮されて張りのある床面ができます。
ちなみに今回車の床全体にベニヤ板を敷き詰めるのに、5.5mm×1850mm×945mmのベニヤ板を3枚使用しました。

【注意点】
私は5.5mm厚さのベニヤ板を使用しましたが、できれば板厚が9mm以上のものを使用することをおすすめします。
居住スペースを少しでも確保したいのと車両重量を増やしたくなかったため私は板厚5.5mmと比較的薄めなベニヤ板を使用したのですが、場所によって想定よりもスタイロフォームが沈みこんでしまう箇所があり、床板が少したわむことがありました。
そのため、個人的には次回製作する機会があれば板厚9mmのベニヤ板を使用したいと考えています。(一般的に手に入りやすい規格で厚さ5.5mmの次が厚さ9mmのため)
クッションフロア敷き
ベニヤ板を敷き詰められたら、その上にクッションフロアを敷いていきます。クッションフロアを敷くことによって段差のないきれいなフラット面ができます。
またクッションフロアには適度なクッション性があるので、座ったり寝転んだりするのに適した環境になります。
まずはクッションフロアを開梱して床全体を覆うように敷きます。床に模様がある場合は狙いの向きになるように調整して敷いていきましょう。

次にクッションフロアカッターを使用して端を切っていきます。専用の道具を使用することで端の端まできれいに隙間なくクッションフロアをカットすることができます。

クッションフロアをカットし終わったらのり付け作業に移っていきます。
床の前側半分と後ろ側半分の2回にわけてのり付けしていくのがおすすめです。
まずは前側半分にのり付けするため、下の写真のようにクッションフロアの前側をめくってベニヤ板が見える状態にします。

次にベニヤ板の上にボンドを塗っていくのですが、このときボンドの塗り過ぎには注意しましょう。
塗りすぎると後でクッションフロアに浮きが出てしまいボコボコした床になってしまいます。
ちょっとカスカスになるくらい薄めに塗ったのですが、それでも十分強固に接着して剥がれる気配はありませんでした。

前側半分のベニヤ板にボンドが塗れたらめくっていたクッションフロアを戻し、ヨレができないよう丁寧に貼り付けていきましょう。
同様の作業を床の後ろ半分についても行い、隙間なく丁寧にクッションフロアを貼り付けて完成です。

クッション性があって実用的で、見栄えもきれいな床が車の中にできあがりました。
クッションフロアと、貼り作業に必要となる道具はそれぞれ以下のものを使用しました。
かかった時間と費用
かかった時間
作業時間はトータルでおおよそ10時間かかりました。時間の内訳は以下のとおりです。
- カバー剥がし・清掃:1時間
- 土台の木枠づくり:2時間
- スタイロフォーム敷き詰め:1時間半
- 発泡ウレタン充填:30分
- ベニヤ板敷き詰め:3時間
- クッションフロア敷き:2時間
かかった費用
作業にかかった費用はおおよそ33,000円となりました。そのおおまかな内訳は以下のとおりです。
- パーツクリーナー:500円
- 木枠用木材:3,000円
- 両面テープ:1,500円
- スタイロフォーム:2,000円
- 発泡ウレタン:1,000円
- ベニヤ板:10,000円
- クッションフロア:8,000円
- クッションフロア貼りセット:7,000円
まとめ
この記事では車の床の防音・断熱処理について紹介しました。
時間としてはおよそ10時間、費用は33,000円程度で、車中泊に快適な環境をつくりあげることができました。
作業としては難易度は高くなく、費用もそれほどかからないので興味がある方はぜひ挑戦してみてください。

